WCK Meeting Vol.43「ウェブデータを活用しよう!サイト改善だけじゃない、使えるアクセス解析+α」レポート

2016年9月23日(金)高知市文化プラザかるぽーとにて、WCK Meeting Vol.43「ウェブデータを活用しよう!サイト改善だけじゃない、使えるアクセス解析+α」が行われました。

今回はウェブクリエイターズ高知の新実行委員であり、WACA上級ウェブ解析士の資格も持つ坂上北斗さん(株式会社メディア・エーシー)に企画・登壇いただきました。

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ウェブデータを「使う」ために

満員御礼の会場は、企業や団体のWeb担当者と、クライアントのWeb運用を支援する制作者が半々という割合でした。みなさん Google Analytics などの解析ツールは導入されていましたが、そこから得られるウェブデータがどのように活用できるのか、というお話からセッションが始まりました。

世界の共通言語は“数”

インターネットでは実世界に比べて、訪問者の数や属性、滞在時間、行動、広告への反応率など様々なデータを収集・分析する手法が揃っています。サイト改善にこれらのウェブデータを利用しない手はありません。


「きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくて“数”だと思う」某シンガーソングライターの曲を引用してのフレーズで、数値データを使うメリットが挙げられました。
共通認識を得やすい
目標を明確にできる
具体的な計画を立てられる

人によって様々な解釈ができる指標と違い、数値データはその明確さから、チームの意思決定に有効ということでした。

また、数値データはクライアントや他部署に企画提案をする際にも役立つことを、オンラインショップ、予約受付サイト、ショップサイト、コーポレートサイトなど、坂上さんの豊富な実績から例をあげて解説いただきました。数値的根拠やそれをもとにした分析結果を利用することで、提案の説得力が増すだけでなく、実行後の成果にもつながることが感じられました。

アクセス解析が「よくわからない」理由と解消法

しかしいざアクセス解析をしようとしても、膨大なデータや項目を前に、その活用法に迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。

ウェブデータ初心者が陥りやすい罠として、活用の過程であるべき分析やレポート作りが目的になってしまうことが挙げられました。
ビジネスを進めるPDCAサイクルの中で、アクセス解析やデータ分析が担えるのは「Plan=計画」と「Check=評価」の部分。分析結果を「Do=実行」・「A=改善」する具体的な施策立案に結び付けられず、サイクルが回せないという罠もまたハマりがちなポイントです。
 


これらの罠を脱するには、まず何を検証したいかという目的を明確にすることが重要ということでした。目的を明らかにすることで、必要なデータ項目や検証のための指標が見えてきます。

分析に必要な指標が揃わない場合には、データ構造を意図的につくる方法も紹介していただきました。すでに動いているサイトに新たな構造を組み込むことはなかなか骨の折れる仕事ですが、施策とコンテンツを戦略的に組み立てることで、改善のサイクルが生まれるというお話でした。

 

分析を成果につなげるために

セッションの後半では、ウェブデータの分析を成果につなげるために役立つ集計フォーマットや思考のフレームワークについて解説いただきました。

汎用性の高いデータ集計フォーマット「チャネル別分析」

アクセス解析の目的は、現状把握から課題解決のための施策立案まで様々ですが、いずれにも役立つデータ集計のフォーマットとして「チャネル別分析」が紹介されました。
チャネル別分析とは、訪問者数をチャネル別に分解していく方法のこと。サイトへのアクセスが検索/直接/参照/広告/SNSからどれだけ発生しているかをつかむことで、ほとんどの場合、Web上のマーケティングの不具合が発見できるそうです。
 


販促活動を改善するサイト設計のための3つのフレームワーク

続いて、分析結果から具体的な施策立案を行う際に役立つ3つのフレームワークを教えていただきました。

  • コンセプトコーン…自社の強みや提供できる価値と顧客をつなぐコンテンツを考える
  • マーケティングステップ…市場浸透の段階に合わせた施策を考える
  • セールスステップ…成約までのステップに合ったアプローチを考える

それぞれの目的やステータスに合わせて分析実務者がサイト設計に関わることで、データに基づいた施策立案や、分析・検証がしやすくなるということでした。

 

Web担当者・制作者が次のステージへ進むためのウェブデータ


セッション内では、ウェブデータを取り巻く環境の変化として、企業内に自社のWebマーケティング・制作・運用の機能を持つ“インハウス化”の流れが加速していることも取り上げられました。
これは東京などの大企業に限った話ではなく、坂上さんが普段高知でお仕事をされている中でも実感できる状況ということでした。

企業のWeb活用が当たり前になっていく中で、Web担当者はより深く、制作者はより広い領域への理解と対応力が求められることになります。そしてその中で生き残っていくためには、成果を出すこと=事業への直接的な貢献が不可欠です。
社内外の様々な役割の人が互いに連携していく上で、“共通言語”としてのウェブデータが力を発揮するというわけです。
 

 

アクセス解析を販促活動全体の改善に

さらに、インターネット広告やSNSを用いたPRだけでなく、テレビ・ラジオCMや新聞・雑誌広告、パンフレットやチラシなど従来のメディアを用いた販促活動全ての反応をWebサイトに集めることで、施策の成果をデータで把握し、分析・改善へつなげる材料とする視点も示していただきました。
アクセス解析がウェブサイトの改善だけでなく、広報・マーケティングをはじめ、事業活動全体に影響を与えられる可能性が感じられるお話でした。

その他、豊富な実例と分析実務者がハマりがちな落とし穴、対策のTIPSも教えていただき、非常に充実した内容の勉強会となりました。惜しみなく経験とノウハウを共有してくださった坂上さん、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
 


写真撮影:中野玄(HOOP Design)、上野洋平(notch


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